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【DREAMJOBビジネスマナー講座Ⅱ №43】

第二章 企業取引の法務

第二節 契約の成立

レベル1 「売買契約の成立」

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(前回からの続き)

4.契約の成立と契約書

本来、契約の成立には原則として特別の方式は要求されておらず、前述の契約の成立要件を充たしていれば契約は成立します。文書・口頭・電話のいずれによる合意(意思表示の合致)であっても、すべて契約として認められます。しかし、契約の存在を証明する上では取引条件(契約内容)を書面にしておくべきだとされます。また、取引条件を明確にするためにも、契約内容を十分に検討した上で契約書を作成するべきです。
日常生活では、出前の注文等、簡単な契約は、原則として口頭・電話で行っていますが、保険契約や土地・家屋等の不動産の売買や賃借等の重要な契約は文書(契約書、保険の場合でいえば申込書)で行うのが通常です。

5.売買目的物と売買代金

①売買の目的物の内容

売買の目的物の内容、例えば商品の品名・数量・品質等は明確に定めておく必要があります。特に品質については問題が生じやすい事項です。民法上、契約書等の文言により品質を特定できない場合は、売主は中等の品質のものを給付(納品)しなければならないとされています(民法401条1項)。しかし、後日の紛争を回避するためには契約書において品質を一義的かつ明確に定めておく必要があります。品質指定の売買方法としては、見本売買・仕様書売買・規格品売買・銘柄売買・標準物売買などがあります。
目的物の数量は、個数で定めることができる場合にはあまり問題は生じません。他方、個数で定めることができない場合は、重量や容積等で定めざるを得ませんが、この場合、指定数値通りの履行が極めて困難であるため過不足についての許容範囲を定めておくべきです(アローアンス条項)。許容範囲の定め方については、国際商業会議所が作成する信用状統一規則が参考になります。

②売買代金額

売買代金は売買契約において最も重要な要素の一つです。契約や商慣習で代金額が確定できない場合は、納入時点までにかかった費用や運賃などの費用は、原則として売主が負担し(民法485条)、本来買主の費用である目的物の検査にかかる費用は買主が負担することになるでしょう。しかし、双方の合意した内容を確認するためにも契約で明確に定めておくことが望まれます。さらに、輸出入関連商品を外貨建てで取引する場合は、為替レートの変動も無視できないため円貨への換算レート(いつの時点、どこの市場など)を明確に定めておく必要があります(民法403条参照)。

③手付・内金の性質

売買契約が成立したときに買主が売主に一定額の金銭を交付することがあります。この金銭を手付といいます(民法557条)。手付は、売買契約が成立したことの証拠として意味を持つ(これを「証約手付」といいます)ほか、売買契約当時者が契約を解除する権利(解除権)を留保する趣旨で授受されることがあります(これを「解約手付」といいます)。解約手付が交付された場合には、相手方が債務の履行に着手するまでは、買主は手付を放棄することによって売買契約を解除でき(手付損)、売主も手付の倍額を買主に返還することによって契約を解除することができます(手付倍戻し)。
なお、債務不履行の場合には当然に没収される趣旨で手付を交付することもあります(「違約手付」といいます)。
手付に類似したものとして内金があります。内金は売買代金の一部前払いとしての意味があるにすぎず、手付のように特別な法律的意味があるわけではありません。ただ、内金という名目で金銭が授受されたとしても、法律的には手付と解釈される場合もあり、単に名称のみで両者が区別されるわけではありません。

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